常井かきくけこさん「遡光」評

軽い胃腸炎でお仕事を休んでいるので、1年以上更新していなかったはてなブログを動かしています。今回は、ネットプリントで配信されてからずっと書きたかった、常井かきくけこさんの笹井賞応募50首連作「遡光」から気になった歌をピックアップしたいと思いま…

人の死なない話をしよう1周年に際して

弊歌集こと「人の死なない話をしよう」ですが、12月23日をもって刊行から1年となります。ありがたいことに150冊以上をお買い上げいただいた状態で1周年という日を迎えられることを本当に嬉しく思います。いつもTwitter等で応援してくださっている皆様、誠に…

めーぷるしろっくさん「Replay Reverse and Rebirth」評

人の死なない話をしようの著者が誰かが亡くなる連作への評をするのはいかがなものかとも思わなくもないが、このリアリティは涙腺に働きかけてくる手触りのあるものだったため評することを余儀なくされているのであった。 めーぷるしろっくさん作「Replay Rev…

嬉しい感想をいただきました。

歌集をお買い上げいただいた方からこんな嬉しい感想をいただきました。 語彙力ない私が言うのもなんだけど、短歌って、人を選ぶ短歌ってあるじゃないですか。解釈とか、予備知識がなきゃとか、人生このへんまで生きなきゃわかんないこととか、そういうのなく…

歌集が売り切れました(増刷決定のお知らせ)

1万RTほどバズったツイートで宣伝していただけるという良いアクシデントによって残り17冊程度だった「人の死なない話をしよう」が一気に売り切れる事態となりました。 昨年12月に販売を開始して、1年かけて100冊売ろう、と100冊印刷したわけですが、運良く10…

秋だから寂しくなるのか、夏の暑さに感けた日々を終え寂しくなった頃に秋がやってくるのかは知らないが、ご多分に漏れず秋には寂しくなるもので、そんなありふれた感情を持つ自分はさも標準的な人間であると誤解しそうになるけれど、掃いて捨てるほどある秋…

歌集が売れなくなりました

ご存じの通り歌集売ってます。 resonosound.thebase.in BASE( ᐛ )⛺️ 7/21(水)〜 8/3(火)まで\ サマークーポンキャンペーン/ショッピングアプリ「BASE」で使えるお得なクーポンになりますショップオーナーさんは、こちらの画像を保存して、ぜひ告知に役…

櫛谷結実枝1stアルバム「光」 レビュー

youtu.be すんごい良いトレーラー、見ました? これで引き込まれて購入したアルバムについて、言葉屋さんとして感想をつらつら書いていきたいと思います。ちなみにライナーノーツはQRコードで読み取ると読める仕様なのですが、先入観無しで書きたいのでまだ…

あいうえ音頭

この時期は短歌の賞がいくつか重なっていて周りの人々が挙って50首連作を編むのですが私は特に興味がないので昨年から50首作るけど賞には出さずTwitterに流し既発表作にするという、奇行をしています。 今年も誕生日を迎えたので記念にあ〜んで始まる短歌を4…

死ぬということを諦めつつある

もうすぐ歳を重ねることになるのだけど、漠然と25歳くらいには死んでいる予定だったんですよね。 ところが、無事かどうかはさておいて26歳を迎えられそうになってきました。(私の誕生日は6月6日) 26歳になるとすると30歳くらいまでは生きられる気がしてき…

○○短歌というものについて

恋愛短歌、性愛短歌、青春短歌、BL短歌、百合短歌……世の中には様々な○○短歌があり、自称しているものから、他人がカテゴライズしたものまであるだろう。 その、自称しているもの(こと)について少し思うことがある。 例えば、割った卵の黄身が二つだったと…

第1回ニッケルハルパ歌会ありがとうございました!

こんにちは、ふーかです。この度は第1回ニッケルハルパ歌会にご参加いただきまして誠にありがとうございました。ニッケルハルパというほとんどの人にとって未知である楽器を詠み込み必須で短歌を作るというのはなかなかに難易度の高いことだと思いますが、そ…

私は春という季節が苦手だ。 春が悪いわけではないのだが、春になると不安定になるのは揺るがない事実であるから、できる限りで春を迎えたくないのが本音である。 春が苦手な原因ははっきりしていて私が小学六年生のときに遡る。私は全校生徒が100人程度の小…

マッサージ

全身ガッチガチバッキバキ人間なのだが揉みほぐしに行くということをひどく躊躇っていた。知らない人に身体を触られることが基本的に嫌いだと思っていたからだ。 しかし、初めて行ったけど良かったという知り合いの話を聞いた翌日だったかな、物は試しにと思…

私家版歌集の一例として②

前回の報告↓ kasaharafuka.hatenablog.com こんにちは、俗に言う笠原楓奏です。 ついに100部印刷した在庫が残り半分になりました。お買い上げいただいた皆様、誠にありがとうございます。 3月11日時点での内訳はこんな感じ。 増刷するかどうかは今後の販売経…

人の死なない短歌の話

とある映画を見た。今は亡き大杉漣や小松政夫も出演している大変素晴らしい作品だった。作中では何人かの人が亡くなったり、亡くなっていたりした。然るべきときに然るべき理由で亡くなっていたので、ボロ泣きする以外に選択肢は無かった。 人は死ぬ。 これ…

熱意

時々、みんなちゃんと何かを好きでいて偉いなと思うことがある。 もちろん私にも好きなものやことくらいあるのだが、そのどれをとっても、より好きな人たちがいて、その人たちと話していると次第に自分は大して好きじゃないのではないか、と思ってしまう。 …

無様

身体も頭も思うように動かない。 以下は私の自分に対する考えであり他人の感情については別の話である。 まず、死にたい、と思うこと。これは生きようとしていることに他ならない。死ぬということで全てが無になるのなら、恐らくそれが最も端的な解決策だ。…

充電切れ

70%あったはずの充電が気付いたら10%になっていることってあるじゃないですか。100から80くらいまでは順当なんだけど古いバッテリーほどそこから一気に信用できなくなるような。 今日の私は大方そんな感じで、昨日の私が今日の私のために作り置きしたご飯を…

性別について

高校生のときかな、基本かわいいものが好きなので女の子の服が着たいと思って、「(女の子の服が着られるから)女の子になりたい」と言ったとき、当時付き合っていたバイセクシュアルの恋人に「女の子になりたいの?女の子の服が着たいの?」と聞かれ、確か…

バレンタインの愚痴

バレンタインの日に楽器を欲しがる楽器勢のネタは毎年見なきゃならないのか?面白くなくて代わり映えがしないし、だからチョコの一つももらえねえんだよ、という気持ちで画面外にスクロールしている。ネタだとわかっていても、嫌なら見るなの精神でいても、…

生きる意味と死ぬ意味

生きる意味なんて、死に際に「生きた意味」として確定するものであって、生きている最中に自覚できることではないと思っているの。結果論でしか語れないのよね。 逆に、どのようにして死ぬかについては生きているうちにある程度操作できるんじゃないかな、と…

私家版歌集の一例として

こんにちは、笠原楓奏(ふーか)です。 2020年12月に第一歌集となる「人の死なない話をしよう」を刊行しました。みんな読んでくれたかな? resonosound.thebase.in 読んでくださっていてもそうでなくても構わないのですが、おかげさまで出版にかかったコスト…

罪悪感という全ての原動力

何をするのにも、何をしないのにも、常に私につきまとうもの 「罪悪感」 いつからだろう、私は小学生くらいのときに「母親の自慢の息子でありたい」を通り越して、「父親の代わりになりたい」と強く思い始めていた。父親は私の1歳の誕生日の前に死に、物心つ…

聞き上手より生き上手になりたいんだよな

ありがたくも、誰かから相談されることの多い人生を歩んできた。心中お察し申し上げがちな人間が重宝されるくらいには、人は人の話を受け止めてあげないものなのかもしれない。 私は比較的、共感性の高い生き物だと思う。例を挙げるとすれば、映画はもう数年…

50首連作 6月を迎えるにあたり

6月を迎えるにあたり 笠原楓奏(ふーか) 走り梅雨何に追われて街を染む ここはどこ?わたしはだあれ?このくにはまだ人たちが愛しあうくに? 祝日は無いし梅雨だし水無月のことはわたしが愛すしかない 眠り方忘れたままに夜を更かしここが夜だと教わってい…

死に近いものほど美しいと知り君と桜を見比べている

死にそうな顔って、見たことある? 散り始めた桜が見える川辺に腰掛ける彼女は徐にそう切り出した。 すごくつらそうな、しんどそうな顔のことだろ?それなら見たことある、みんなそんな顔をしているから。 と僕が言うと小さく、ううん、とだけ応えたあとゆっ…

優秀というレッテル

これを、自虐風自慢だと思うのなら、それでいいから少し耳を傾けてほしい。 私は、「優秀な奴」「仕事ができる奴」という評価をされがちな人生を送ってきた。これは、小学生から始まり、仕事を始めてからもおおよそずっと。勉強ができるというニュアンスより…

1/3の純情なバンジョー

朝。一家揃って朝食を食べるのが我が家の決まりとなっている。妻が食事を作っているうちに僕はお湯を沸かしながらテレビを付けると軽快なトンカツとともにニュース番組が始まる。子どもたちもいるので一応はニュース番組にしているが、まあ正直偏ったニュー…

友達になろうよ そして僕が死ぬときは誰より涙してくれ

私は友達が少ない。 と言っても全くいないわけではないが学生時代の友人が次第に減っていく一方なのは間違いない。 減っていく? 誰一人――いや、一人を除いて――死んではいないはずだし仲違いしたわけでもないのにお互いの環境が変わったことで疎遠になった人…